全部燃やしてしまえば

チラシの裏系ブログ

人がある人物について思い出す時、彼の印象はどう決まるか

 

中学生の頃、担任が嫌いだった。

 

 

アラサー男性教師、若ハゲ、教科は数学。

 

若ハゲ数学は熱い男だった。だらだらしている生徒を見かけると全校集会の最中にも怒鳴り散らしていた。クラス対抗リレーや合唱祭のようなイベントがあれば、強制的に居残り練習をさせ、遅くまで大声でキレながら指導する。また、曲がったことが大嫌いという、原田泰造のような決め台詞をよく吐いていた。

 

そんな「ウザい」若ハゲ数学に僕はとことん嫌われていた。理由はいまでもわからないが、実は兄の影響というか兄に原因があるのかもしれない。というのも兄の担任もその若ハゲ数学だったことがあり、兄は当時なにかやらかして若ハゲ数学と揉めたらしいのだ。その時の恨みが僕に向けられているのではと推測しているが真相は不明だ。

とにかく、僕が目を付けられていたのは間違いない。これは被害妄想ではないことは確認済みだ。同じ悪さをして僕だけがきつく叱られ、友達に「お前にだけ厳しいよな」と笑われたことがある。

確かに、当時の僕は生意気なクソガキだったなと、今思い返すと反省する点は多い。それを踏まえても、何故自分だけが叱られるのかと当時はとても不愉快だった。

 

 

 

そんな若ハゲ数学とも関わりがあったのはその1年だけで、それ以後は特に直接会うこともなく、僕は高校に進学した。(中高一貫校だったため、同じ敷地内)

 

 

 

突然だが、挨拶を返さない教師を皆さんはどう思うだろうか。

僕の高校には「こんにちはー!」とキラキラ男子高校生の僕がわざわざ挨拶してやっても、こちらを見ようともせず、完全にガン無視して通り過ぎるクソが2匹いた。

一日に何人もの生徒から何回も挨拶されるだろうから、一回一回に返すのは確かにしんどいしメンドクサイだろう。

それを理解してはいるのだが、無視される側はいい気分ではない。僕だって挨拶したくてしてるわけではない。礼儀としてやっているだけで、それを教師が無視するのはマナー違反ではないのか。僕は腹が立って、そのうちクソには挨拶しなくなっていった。

(もちろん大多数の先生方は笑顔で返してくれた)

 

 

高校に上がって数ヶ月が過ぎた頃、若ハゲ数学とばったり出会った。

前述の通り、僕は若ハゲ数学をよく思っていなかったのだが、しかし無視をするわけにもいかず(目があってしまったため)、

「こんにちは」

と控えめに挨拶した。

若ハゲ数学は驚いた様子で

「ブ、ブリットか!こんにちは!元気か」

と爽やかに返してくれた。

僕には若ハゲ数学の怒った顔しか印象に残っていなかったので、こんな風に笑顔で挨拶を返してくれるのは予想外だった。

 

それ以来僕が卒業するまで、会う度に若ハゲは実に気持ちの良い挨拶をしてくれた。

 

 

さてタイトルにある通り、今現在僕が若ハゲに抱く印象について。「非常に良い」だ。

あれ程嫌いだったのに、挨拶ひとつで人の印象はだいぶ違うなと思った。過去の出来事よりも、最後に会った時の印象というのは強烈なようだ。

思い返してみれば、若ハゲは悪い教師ではなかった。僕にだけ厳しかったのは事実だし、色々とメンドクサイ奴だったが、本当に性格の悪い人間なら合唱練習のような、給料の発生しない時間をわざわざ割くはずがない。僕なら絶対にしない。若ハゲは無給でクラスのために頑張ってくれていたのだ。また若ハゲは男子だけではなく女子に対してもきちんと怒ることができる教師だったし、クラスでレクをやりたいと生徒から申し出があれば、すすんで休日にも協力してくれた。

 

実はクソ2匹の授業はどちらも面白かったので、挨拶を無視されること以外は良い先生だなと思っていた。しかし現在からみた印象は言うまでもない。

 

 

挨拶されたら笑顔で返そう。そう心に留めた。

当たり前だけど大事なことだ。

 

 

 

ただ、もう一度中学生として若ハゲのクラスになりたいかと聞かれると

 

答えは「No」だ。